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しつもん運動する時の水分補給は大切と聞きました。どのように、どんなものを、どのくらい飲んだらよいですか
 
 こたえ水分補給は、運動のパフォーマンスの維持・向上に効果があるだけでなく、熱中症を防ぐためにも大変に有効なものです。具体的にみていきましょう

「どのように」
のどが渇いてしまってからから遅いので、"のどが渇いたなと思う前に飲む"ということが大切です。また、いつでも、どんなときでも水分補給ができるように、練習などの際、すぐ手の届くところにドリンクの入ったボトルを置くことが必要です。一回に飲む量は、コップ一杯くらいの量(約100〜200ml)で飲むようにし、一度に大量に飲むことは絶対に避けて下さい。

「どんなものを」
 飲む物は、市販されているスポーツドリンクから、自分の好み味のものを選ぶと良いでしょう。これは、スポーツドリンクだと飲みやすく、水分を摂ることだけでなく、エネルギーや塩分などの補給を狙うことができるからです。また、飲むということには、気分転換やリラックス効果がありますので、積極的に活用しましょう。ドリンクは、"自分にあった冷たさ"とすることが最も良いのですが、目安として8℃くらいとするとように、氷を入れたり、クーラーボックスを使ったりして、冷たすぎたり、温すぎたりしないようにしておくことがよいと思います。

「どのくらい」
運動(練習・試合)前
 練習や試合が始まる30分くらい前までに、300〜500mlをゆっくり時間をかけて飲んでおます。この際には、薄めていない普通の濃さのスポーツドリンクを飲むことが良いと考えますが、この運動前に時にだけ注意することとして、砂糖(ショ糖)を使ったドリンクよりも、果糖(フラクトース)を使用したものを選ぶと良いと思います。

運動(練習・試合)中
 いつでも自由に水分補給ができるようにしておきます。練習や試合の合間を見計らって飲めるようにしておくことが、プレーを持続させることに繋がります。また、20分毎くらいにウォーターブレイクを入れるようにして、その際にはしっかりと水分補給をするようにします。自由に飲む際のドリンクは水で良いと思いますが、ウォーターブレイクの際には普通の濃さのスポーツドリンクが望まれます。

運動(練習・試合)後
 30分以内に食事を取ることが望ましいとされていますが、なかなか難しいところがあると思います。練習後、食事までの間に、100%果汁ジュースやスポーツドリンクなどを飲んでおくようにおくとよいでしょう。後の控える食事のことを考えて、甘すぎるものや、大量に飲むことは避けておくと良いと思います。連続した試合の合間の際には、試合後すぐに前述のドリンクやアミノ酸入りのドリンクを飲むようにしておくことが、次の試合での運動のパフォーマンス維持に繋がります。
 このような水分補給は、1時間あたり800〜1600mlくらいを飲むように心がけるようにしてください。
 

しつもん練習や試合の時に飲むドリンクをひと工夫したいのですが、何が効果的ですか。また、熱中症を予防するために手軽にできそうな工夫があれば教えてください
 
こたえ ドリンクを工夫することとしては、今まで水だけとしていたところならば、それをスポーツドリンクにするということなどが望まれます。ただ、理由があってスポーツドリンクを用意できないところもあると思います。その際には、運動中は水だけでとしても、運動前や運動後には、必ず、100%果汁ジュースやスポーツドリンクなどを飲むように心がけてくださればと思います。

 ただ、このようなドリンクを自分達で作ってしまうということも可能です。日本ラグビーフットボール協会が出している冊子の「競技力向上と水分補給−ラグビーにおける暑さ対策マニュアル」では練習中のドリンクとして、冷たい水1l+砂糖60g+食塩0.9gというように示しています。また、スポーツドクターの平石貴久氏が、サッカーのJリーグの選手たちに推薦している特製ドリンクとして、100%のオレンジジュース+ハチミツ100g+重曹2〜3g+ビタミンCを3〜5gへと水を加えて1lにするというものがあります。

 ドリンクのボトルの工夫として、日本代表トレーナーの石山修盟氏の報告によると、ジャパンでは、500ml入りくらいの市販のペットボトルを使用されているようです。これは、スポーツドリンク用の1lボトルなどでは、水の出が細い、握るときに固い、持ちにくいなどの利用のためとのことです。

 熱射病を予防するための手軽な工夫としては、可能ならば帽子や頭にタオルを巻くなどして、通気性のよい汗をよく逃がすウェアを選び、コンタクトする練習の時以外はTシャツに短パンなどの軽装にすることがよいと思います。また、ウォーターブレイクの際などに、冷やしたタオルを首筋や脇の下に当てるたり、体を拭くなどする。冷たい水を首筋や手足にかけるなどが良いと思います。
 

しつもんスポーツドリンクを飲むと太るし、口の中がベタベタしたりするで飲みたくない。お茶や水だけの方が良いと思いますがどうでしょうか
 
こたえ まず、スポーツドリンクを飲むと太るということは無いと考えます。運動中はスポーツドリンクで摂れる以上のエネルギーを消費しているはずなので、太るという理由は運動量にあった食事の量や質などという別なところにあるはずです。

 スポーツドリンクに比べ、水だけでは脱水から回復する効果が低いとされています。それを踏まえて、慣れて飲むことができるようにするというスタンスが大切と考えます。
 また、甘さを抑える方法としては、冷たくするということが最も効果です。温い状態にすると甘さは強く感じるものです。お茶には利尿作用があるものがありますので、運動の時に飲むドリンクとしては効果的ではないと考えます
 

しつもん高校の女子マネージャーです。私たちでも簡単に判断できる熱中症の初期症状を見極める方法(バロメーター)を教えてください
 
こたえ 前述の症状が起きた際には、熱中症を疑う必要があるとして対応するとよいと思います。
 ただ、熱中症はその前に、下痢、睡眠不足、発熱、体調不良、体重減少、足のつりや痛み、怪我や故障があるなどが起きていることが多いようですので、そのような者が運動をする際には、十分に注意を向けておくということが大切と思います。
 また、特に、下痢、睡眠不足、発熱しているなどの体調不良者には運動をさせないようにすることが望まれます。

 よって、毎日と練習の前後に体重測定を行い、その変化の量に気を付けると良いでしょう。また、選手一人一人にその日のコンディションの状態を聞く、アンケートを取るなどをして、記録しておくと、熱中症だけでなく、怪我や事故などを未然に防ぐことに役立ちます。
 運動中の選手を見るポイントとして、足の動きや運び、目の焦点、こちらの質問に確り反応できるかの3点をチェック・ポイントとして判断の基準として下さい。もし、少しでもおかしいと判断したら、涼しいところで休憩させ、水分補給をさせるなどの対処が必要です。
 

しつもん熱中症を予防するためには、どんなことに気をつけたり、グラウンド以外でも心がけたりするとよいですか。また、熱中症になりやすいという傾向はありますか
 
こたえ まず、練習内容、計画について、効率的で、環境条件、選手のコンディションに対応したもの作成し、自信を持って行なうことが必要と考えます。メニューに無い追加的な練習や、ペナルティ的な内容の練習は絶対に行なわないことが望まれます。

 練習や試合の時以外で注意することとしては、スポーツ選手は一般的に脱水傾向にあるとされているので、普段から水分補給をすることを心がけておくと良いと思います。
 その方法としては、食事の際には、必ず飲み物(牛乳や100%果汁ジュースなど)を加える。時々水を一口飲むよう意識するなどを行なうと良いと思います。
 また、コンディショニングを整えるという意味で、睡眠時間は大切です。最低でも8時間は寝るようにして、就寝時刻も11時前には必ず寝るようにしてください。
 これは、成長ホルモンの分泌によって体の回復が促進されるということがあり、ホルモンが分泌されるタイミングの関係のためです。これよりも遅く寝ると、体の回復が遅くなってしまい、疲れがとれない原因になってしまいます。

 熱中症になりやすい傾向として、体力弱い者(新入生や怪我や故障がある者)、体格的大きい者、暑さになれていない者などとされています。
 このうち、特に体格的に大きい者については、ラグビーにおいてはFWなどで体格的に大きいことが重要となる傾向が強いのでよく見られるものと思われます。
 ただ、体格的な大きさを望むならば、その質は、脂肪ではなく、筋肉によるものとすべきです。体脂肪が多いということは、体の負担が増えるばかりでなく、体からの熱の放散が悪くなる、汗を多くかくなどのことによって、熱中症になりやすいものとされているからです。運動のパフォーマンスもあげるためにも、脂肪を増やすのではなく、筋量の増やすことによって体を大きくすることが望まれます。

 熱中症の起こりやすい条件としては、前日までに比べ急に気温が上がった時、梅雨明けをしたばかりの時、気温はそれほどでなくとも湿度が高いとき、休み明け、運動の初日、強度の強い運動が連日続いた時の最終日前後とされていますので、このような時には、時に十分な注意が必要と思います。
 

しつもん症状によっては、病院へ運んだ方が良いこともあるかとは思いますが、何を基準に判断すれば良いでしょうか
 
こたえ 事例から考察してみるに、熱中症はどのような場合であっても医師の診断を仰ぐことが必要と考えます。
 そのため、どのような場合であっても必ず病院へ行くようすることが望まれます。注意することとしては、意識の反応が悪い、言動がおかしい、意識が無いなどは、至急、救急車を呼び、病院へと運ぶ必要がある場合となります。

 練習や試合の行なわれいる間には何もなくとも、終えた後に熱中症の症状がでることもあります。
 よって、練習や試合中にだけ注意をするのではなく、生活全体として注意をし、対処ができるようにしておくことが望まれます。
 

しつもん熱中症が起こってしまったときの応急手当はどうしたらよいですか
こたえ まず、意識の状態を確認することを行ないます。その状態により対応をしていきます。

「意識がはっきりあるとき」
 涼しいところへと運ぶ+水分補給を同時に行ないます。運ぶところとしては、冷房のかかっている部屋へと運ぶことが最善となります。ただ、難しい場合には、日陰で風通しの良いところへと運びます。そこに寝かせて、衣服などゆるめる、できる限り脱がすなどを行ないます。
 次に、体を水(冷たいと良い)で濡らしたタオルを使ってふきつつ、症状として以下のようなものがあった場合は、それに対応した手当を行っていきます。

○筋肉が痙攣をしている〜0.9%の食塩水(生理食塩水)飲ませつつ、冷たいタオルを使ってマッサージをします。
○顔色が悪い、脈が弱い 〜寝かせた状態で足を心臓よりも高くなるようにする。
○顔色が赤い 〜やや上半身が高くなる姿勢で寝かせる。
○飲水できる 〜水分を摂らせる(スポーツドリンクなどを飲ませる)。
○飲水できない 〜すぐに病院へと運ぶ。
○足先など末端部が冷たい〜濡れたタオルでさするようにマッサージを行なう。

 このように手当をしつつ、様子を観察していて状態が良くならない場合には、直ぐに医療機関へと運びます。また、通常、暑い環境での運動を再開することができるようになるには、数日間を要します。

「意識が無い、もしくは反応が鈍いとき」
 涼しいところへ運ぶ+冷やす+救急車を呼ぶ(至急、医師に診てもらう)を、同時に並行して行なう必要があります。そのうちの方法としては以下の@とAを併用が望まれます。

@冷水タオルマッサージと送風
 衣類をできるだけ脱がせて、体に水を吹きかけ、その上から冷水で冷やしたタオルを使って全身、特に手足(末端部)と体幹部をさするようにマッサージをします。その際、扇風機、うちわ、タオル、服などを使って風を当てるようにします。

A氷(氷嚢、アイスパック)などで冷却
 氷嚢、アイスパック、アイスノンなどを、腋下動脈(両腕の腋の下にはさむ)、頚動脈(首の横に両方から当てる)、大腿動脈(股の間にあてる)に当てて、血液を冷却します。
 この冷却のポイントとして、ふるえを起こさせない(そのため、積極的にマッサージを行なう)、やりすぎを恐れず積極的に行なう、意識が戻って寒いと訴えるまで行なう、その後に水分補給を行なう(輸液が可能なら行なう)、意識が回復しても再び無くなることがあるため継続して観察するということがあります。これらを行ないつつ、救急車の到着を待ち、病院に着くまで継続します。
 
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