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スポーツ種目別の注意点(登山)
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登山 登山

登 山 mountain climbing
 登山における脱水の原因
 山に登ると少なからず体重が減ることとなると思います。
この理由は
(1) 水を十分に摂ることができないことによる脱水。
(2) 高いところに登った事によって、食欲をなくす。
(3) 普段と食事内容が変わった事によって、十分に食事が取れない。
(4) 普段と比べて、運動量が増えたことによるもの。
などが考えられます。

 脱水について、もう少し詳しく見てみると
○ 空気が薄くなることによって、呼吸の回数が増え
  呼吸の時に吐き出される体の水分の増加。
○ 高いところは湿度も低くなりますので、皮膚よりの水分の蒸発が増える。
○ 高度の影響があって、喉の乾きの感覚が鈍くなる。
というようなことが考えられると思います。

 登山においては、水分を摂ることを特に意識する必要があると同時に、十分にバランスの取れた栄養補給も重要となります。それにより、疲労の予防、回復につながり、且つ安全(必要ない危険を持たず)に山を登ることができるものと思います。
 
 登山においての水の携帯量について
 水を携帯する量に限りがあります。通常、1〜2リットルまでくらいと思います。しかし、この程度の量では、6時間程度の山行までしかもたないもの(一般の人を想定)と考えられます。よって、プラン作成のときに6〜8時間毎で水を補給(携帯のボトルなどに)ができる場所を付け加え、そこで補給をしつつ行っていくということをおすすめします。
 
 水分補給(摂取)について
 登山では、水分補給と体調管理のページで書いたものをアレンジする必要があると思います。具体的には、環境条件などに対応させることを原則において、摂取するタイミングを長くする。1回に飲む量を多くする。などを行うとよいものと思います。下にまとめてみました。

 登山時の水分補給の目安
タイミング    前 水を摂れるところで(出発直前)
登山中 30〜60分程度毎に
(※環境条件による)
   後 水を十分に取れるところで
就寝前 山で泊まる際に
飲む量    前 500ml程度を数回に分けて
登山中 1回に、250ml程度を
ゆっくり、時間をかけて飲む
   後 体重減少分を補える量を分けて
就寝前 250ml程度を飲む
飲み物の温度   環境条件に対応をさせる
(暑い、汗を多量にかいているならば
冷たいものとするなど)
飲み物の組成 登山中 塩分濃度0.1〜0.2%、糖度3〜5%
(薄めたスポーツドリンクがすすめられる)
注意:自分にあった飲み方、量、物、温度などをみつけて行うように

 環境条件によるというところは、低山の林の中など、湿気が多く汗が蒸発せずに滴り落ちるようなところでは、もっと短めに補給する必要があり、「水分補給と体調管理」ページの運動時の水分補給のところと同じような摂取が望まれます。また、照り返しの強い岩場や雪渓などや、急な登りのところなどでも、同様にタイミングを短くする必要があります。

 飲む量については、定期的に飲み、自分にあった量で、体重減少が2%を越えないようにすることを目安としてください。(体重減少量を+−0にしようすることには、多少無理があります)

 携帯している水などだけから水分を摂ろうとするのではなく、水分は食事などからも摂ることができます。、食事の内容を乾いたものでなく、水分をよく含んでいるものにしてみると効率よく水分補給ができるものと思います。

 体を冷やすため、冷たい水を体にかけたりすることができる場合には、適時おこなえるようにするとよいと思います。衣服を緩めて、冷たい水を首筋にかけたり、絞ったタオルなどで、体をふいたりするとよいでしょう。可能な場所をプランの中に入れておくことをおすすめします。

 また、登る前に、暑さに馴れておくということを必ず行なっておくべきでしょう。具体的には、ランニングやウォーキングなどの持久的なトレーニングを行なって下さい。その際に、暑い時間帯には行なったり、厚着をしたり、水分補給をしなかったりすることは避けて下さい。涼しい時、その時にあった服装にて行なうことで十分にトレーニングになります。
 
 参考資料
堀井昌子(1996) 高所登山における栄養
臨床スポーツ医学 13(6) 665-669

山本正嘉(1998) 節水するから暑さに負ける
山と渓谷 1998.7 180-184

神長幹雄(1999) 水分補給でバテを克服
山と渓谷 1999.6 767 56-59
 
 参考事故事例
高校二年生の山岳部員が登山中に熱射病によって死亡した事故
 
lone nami
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