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ゴルフ中の水分補給
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ゴルフ ゴルフ

ゴルフ golf
 日本のゴルフ人口は、約2000万人ともいわれており、5人に1人はゴルフを行っているということになるほどです。その年齢構成は30〜40歳以上が大多数を占めているようです。

 一般にゴルフは歩行を中心とした運動でインパクトの低いものとされていますが、動作の中には、スイングなどの高いインパクトを体に与えるものもあります。

 ゴルフを楽しむ人達の増加にともなって、とくに中高年のゴルファーのプレー中の事故が多くなってきているとの報告があります。[吉原(1997)]
 その内容を見てみると、ゴルフプレー中は突然死の頻度が高いこと、クラブやボールなどによる怪我や、腰痛、膝痛などの慢性過労性なもの、また、心臓や脳に起因するものなどが多いとのことです。
 心臓に起因するものとしては、心筋梗塞、心不全などの虚血性心疾患といわれるものですが、この発症の危険性が高い原因として、ゴルフを愛好してている人に、中高年の男性が多く、危険因子を複数持っている人が多いためとされています。[坂本(1994)]

 また、関東、甲信越、静岡県にあるゴルフ場を対象に調査した報告[吉原(1997)]によると、1995年の一年間における救急車の出動要請原因として、内科的なものについては、脱水が最も多く、続いて心臓発作、脳卒中と続きます。総出動件数329回のうち、内科的原因が138回、その中の脱水43回、日射病10回、熱中症5回とのことですので、内科的原因の約42%が、脱水に関係するものとなります。
 
 特徴
 ゴルフの特徴
 比較的、軽い負荷の運動とされています。しかし、7月、8月など暑いときのプレーは、とてもハードな運動となります。また、日本の夏は高温多湿で屋外でスポーツをする環境としては、決して適しているものではありません。
 
 ゴルフは他のスポーツに比べてると、それほどハードな運動ではないと思われています。ただし、これは、普段その運動を行っている者同士を比べた場合では一般的にそういえるかもしれませんが、日常運動を行わない人の場合とは異なります。
 例えば、日常運動を行わない人が、月に一度起伏のあるゴルフ場を10km近く歩いたとしたら [吉原(1997)より引用]、とても大変な運動であることが想像できるものと思います。
 
 中高年齢の男性が競技人口の大多数を占めています。このことは、中高年層に多いとされる、「生活習慣病」(以前は「成人病」と言われていました)を持っている人が多いということにつながり、よって、脳や心臓などが原因とする事故が多いものと推測ができます。
 
 
 対策
 対策
○ 自らにあった水分補給をする
 前述の救急車出動件数で内科的原因の約42%が脱水に関連するものです。よって、プレー中に十分な水分補給を行うことが、事故防止に最も効果的と思います。
 具体的には、麦茶や薄めたスポーツドリンクなどをプレー中に持参しておき、その量は、目安として、最低1リットルは持つことをお勧めします。
 内容的に、日本茶、紅茶などのお茶、コーヒーなどは避けたほうがよいと思われます。これらには利尿作用があるとされるからです。また、アルコールは絶対に避けてください。
 薄めたスポーツドリンクとする理由は、通常の濃度でのものでは、糖分が多すぎるためです。2倍程度以上薄めるとよいのではと思います。
 量については、環境状態、汗をどの程度かいたか、ブレーの時間なとに左右されるものですが、1リットルから1.5リットル程度のボトル(水筒など)で用意し、足りなくなった時には、途中で補給するようにされるとよいと思います。その際に、水出し用ティーバッグや、粉末スポーツドリンクも持参しておくとよいでしょう。
 注意として、腎臓の弱い方や高齢の方は、あまり水を飲みすぎないようにするということがあります。自らにあった量で水分補給を行われてください。
 飲み方、その他については、「水分補給と体調管理」のページを参考にされてください。
 
○ アルコールを飲むのはプレーが終わってから
 アルコールについては、これも利尿作用があり、脱水などを引き起こす原因となります。また、心臓に危険因子を持っている人にとっては命取りともなりかねないものとなります。
 具体的には、プレー中はもとより、スタート前、昼食時、入浴前(サウナも含む)などのときには、飲むことを避けるべきです。
 ビールなどのアルコールを飲むのであるならぱ、プレーが終わり、着替えも終えてからが最もよいと思います。(自家用車を運転して帰られる方は、帰宅してからとなるでしょう)
 
○ 寝不足や体調不良でプレーしない
 ゴルフの日は殆どの人が早起きをするものと思いますし、前夜はあまり寝つかれないことも多いと思われます。
 寝不足の状態でプレーをするということは、体調不良で行うことになりますので、とても危険なことです。もしも、体調が悪いと思ったときには、プレーを中止することが大切なことです。
 迷惑をかけるからといって無理をして続ければ、かえって迷惑をかけることとなり、ひいては迷惑をかける人を増やすことになりかねません。
 プレーを中止する勇気を持つことは必要なことです。
 
○ ゴルフをするのに適した服装でプレーする
 ゴルフにはそれに適した服装というものがあります。また、プレーをする環境にあわせた服装とすることも重要なことです。
 速乾性のあるものを使用し、靴下などは綿のものを使用するなどして、体を守り、少しでも疲れさせない服装を心がけるとよいでしょう。
 また、日射のあるときには、帽子や日傘などを使用し、必要に応じて目を守るためのサングラスを使用することも大切です。
 汗をかいたときや、午前と午後のラウンドに入る前に、着替えることができるようにするとよいでしょう。
 
 
 参考資料
朝日洋一(1990) ゴルフ場の安全対策
日本ゴルフ学会誌 3 45-52

吉原 紳(1991) ゴルフ場の安全対策に関する研究
日本ゴルフ学会誌 4 31-35

坂本静男(1994) ゴルフと虚血性疾患
臨床スポーツ医学 11(2) 129-135

吉原 紳(1994) ゴルフ場での安全対策
臨床スポーツ医学 11(2) 137-142

吉原 紳(1997) ゴルフ場での事故と暑さ対策
臨床スポーツ医学 14(7) 769-773
 
lone nami
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